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第57回研究例会シンポジウムのご案内

2009年3月7日(土) 13:00~17:00(開場13:00)
國學院大学(渋谷)若木タワー6F 0601教室
2009/2/17 掲載 : 事務局

「日本口承文芸学会 第57回研究例会シンポジウム」のお知らせ

    会員のみなさま
                              例会委員会 野村敬子

立春もすぎ、春の兆しが感じられるようになりました。お変わりなくお過ごしのことと存じます。
    さて、57回研究例会を下記の要領で開催します。多数のご参加をお待ちしております。

      日時 平成21年3月7日(土) 13:00~17:00(開場13:00)
      会場 國學院大学(渋谷)若木タワー6F 0601教室
      (〒150-8440 東京都渋谷区東4-10-28)

テーマ 口承文芸研究と女性-研究史に根ざして-

 ●M.K.アザトフスキーの語り手論をめぐって     荻原 眞子氏
                     コメンテーター     齋藤 君子氏
 ●『ペンタメローネ』完訳について           杉山 洋子氏
                     コメンテーター      藤井 貞和氏
 ●路上の怪異-女が独りで街を歩く時-      戸塚ひろみ氏
                     コメンテーター     小池 淳一氏
    
                           司  会    飯倉 義之

                                   野村 敬子
    
 口承文芸学会編『シリーズ ことばの世界』第1巻「つたえる」世界の口承文芸には「ロシアの口承文芸」(熊野谷葉子氏)が紹介されて、歴史的側面から興味深い語りや語り手たちの姿を知ることができます。振り返って昭和14年、関敬吾がAsadowskijの『シベリアの女の語り手』を読んで昔話研究の新しい方法に気づき、調査を試みたものの(『昔話の語り手』野村純一編)折悪しく第二次世界大戦から敗戦に至る混乱期の社会的制約で、継続が叶わなかったと知られます。
モチーフ分析などから始まる日本の昔話研究史の中で、語り手研究は外国の研究に比較的影響を受けないまま進展をみた領域となっているのも、時代との巡り合わせとなりましょうか。
 荻原眞子氏にM.K.アザトフスキーの著作から日本昔話研究史に凍結されたシベリアの女性語り手についてのお話をいただきます。

 歴史の彼方から新たな波を期待する試みとして、ペロー、アンデルセン、グリム兄弟にさきがける1634~75年成立のジャンバッティスタ・バジーレの『ペンタメローネ(五日物語)』を扱います。(ちくま文庫『ペンタメローネ』上・下 参照)
 平成7年に本邦初の全訳(杉山洋子氏・三宅忠明氏)が成りました。共訳者・本会会員三宅忠明氏の強いお勧めを受け、今回、関西学院大学名誉教授杉山洋子氏にお話をいただくことになりました。特に本書はイタリア・ナポリ方言で再話されたものであること、また口達者な10人―腰曲がり、出目、大鼻よだれたらし、かさぶただらけ等々……の女性たちがまくしたてる大人の語りであること、語りが出産を間近にした大公の后に聞かせるためのものとして設定されていること、最後のどんでんがえしなど、今日的にも多様な刺激を内在しています。ペローやグリムなどヨーロッパの昔話が、本邦で子供を対象にして受容された経緯も含めて、その歴史的背景に存在したイタリアの成人たちの枠物語が全訳された意味深さを知るところです。

 今年度日本口承文芸学会の例会のテーマは「女性」であり、いずれの会にもそれをキーワードにして組み立てられました。研究史を振り返り、「世間話」の地平においても、「女性」を主題としてみます。より、自由に、話の世界を現代という切り口で論じた「ひとり歩きのムーンウォーカー」(「口承文藝研究」第13号)戸塚ひろみ氏に登場ねがいます。
 古い女性の妖怪譚には、女性の社会的立場や人権以前の時代的所産として理解し得るものも多いようです。しかし一方で、現代社会においても、しばしば女性の妖怪が出現しています。
これら「女性」が登場する近現代の妖怪譚を通して、怪異の形成、話の揺籃、あらたなメディアを介した伝播の諸相などに興味深い問題が散見します。
 それぞれの主題に詳しい研究者の方々にコメンテーターをお願いしています。
                                              (企画 野村敬子)

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 書籍の割引販売のお知らせです。
日本口承文芸学会3月例会シンポジウムにおきまして、パネリストのお一人、杉山洋子先生のご厚意により、当日使用するテキストである『ペンタメローネ』上下巻を半額(2巻2200円を1100円)でお分けいただけることとなりました。
同書は2009年2月末に絶版になります!この機を逃すともう手に入りません!
ヨーロッパの口承文芸史の上で重要であるにもかかわらず、グリム・ペローの影に隠れる形で理解が進んでこなかった『ペンタメローネ』を、この機会にぜひ再発見して下さい。

バジーレ著『ペンタメローネ:五日物語』上・下(杉山洋子・三宅忠明訳)
筑摩書房[ちくま文庫]、2005.9
セット価格\1,100
当日、会場にてお求め下さい。